令和6年地価公示価格の概要(仙台市) 240327

令和6年地価公示価格の概要(仙台市) 240327

【住宅地】
令和6年地価公示(令和6年1月1日時点)が発表されました。仙台市では住宅地で年間の平均変動率は7.0%と昨年の5.9%から上昇幅を広げ、仙台市内及びその周辺の名取市(年間平均変動率6.1%)、多賀城市(6.5%)、岩沼市(6.2%)、富谷市(9.4%)、利府町(6.9%)、大和町(8.3%)で大きな上昇となりました。これらの地域では、物件数が少ないなか件数は多くないものの高値での成約がみられ地価上昇に繋がったとみられます。今のところは、需要サイドの高値希望価格に追随する買主がまだ把握されますが、物価上昇や建築費の高騰が続いており、全体的にはこれまでの勢いは徐々に薄れつつあるとみられます。

【商業地】
仙台市の商業地の変動率は7.8%(昨年6.1%)となりました。投資ファンド等の県外資本を中心とする取引は減少したものの、県外の企業や地元不動産会社が買主となる比較的小規模な物件の取引が増える傾向がみられました。コロナ禍を契機に安定収入が見込める賃貸マンション投資が活発で、上杉、二日町、木町通、五橋地区等の商業地域内では単身者向けの高層マンション用地需要が旺盛です。また、総合病院や大型商業施設の進出が予定されている堤通雨宮地区では将来性を期待した収益物件用地の高値取引が多く見られます。今春開校した東北学院大学五橋キャンパス周辺でも、賃貸マンション建設計画が相次いでおり、学生寮や単身者用のマンション用地の高値取引が把握されます。
オフィスビル市場をみれば、市中心部では今後さらに複数のオフィスビルが竣工する予定で供給増加による空室率の悪化が懸念されます。しかし、高機能で省エネ、セキュリティー、防災リスクに対応した新築オフィスビルの需要は県外企業を中心に根強いものがあり概ね堅調を維持しています。老朽化したビルの建替計画もあって短期的には空室率の上昇は認められるものの、空室解消は比較的順調に進んでいくとみる向きが強いようです。

【工業地】
工業地は仙台市や多賀城市の工業地で年間10%を超える大きな上昇が続いています。これらは主に物流施設用地需要が主因となっています。2024年問題で、仙台都市圏において物流拠点となる物流施設用地需要が高まっています。特に市街地に近い仙台都市圏において大手物流デベロッパ-による積極的な用地取得が散見され、これまでの投資目線では考えられないほど高い取引も把握されます。仙台市内での地価高騰を受け大規模画地の用地取得が難しくなってきており、より広範なエリアへ波及する傾向も見られます。また、自動車関連や半導体関連の製造業を中心に、施設拡張や近年の技術革新やエネルギー価格の上昇により省エネ、高機能建物への建替えや設備投資が進んでおり、こうした動きも工業用地価格の上昇となったと考えられます。

◆利府町に新工業団地 231107

◆利府町に新工業団地 231107

高速道路網を活かし物流企業の誘致を目指す
物流施設用地需要が相変わらず旺盛な仙台都市圏で、新たな工業団地の計画が発表されました。

造成される場所は仙台北道路の「しらかし台インターチェンジ」に隣接する利府町唄沢地区の約55ヘクタール。東京ドーム12個分の広さで20区画整備される予定。不動産会社の関兵(仙台市)などが事業主で総工費は70億円とのことです。

24年春に市街化区域に編入、26年度に造成着手、30年度完成予定。
利府町は、三陸沿岸道路と東北自動車道を結ぶ仙台北部道路に隣接しており交通アクセスが良く物流施設の立地に向いていたものの、受け皿となる用地が十分ではなかったという背景があります。

◆建築費高騰と中古住宅市場

◆建築費高騰と中古住宅市場

ウッドショック、アイアンショックによる木材や鋼材の価格上昇、さらには人材不足や人件費の上昇もあって建築コストは大きな上昇となっています。
建築費はコロナ禍前から上昇していましたが、建設資材価格の急上昇を直ちに建設コストに反映できなかった住宅販売会社の昨年度の決算は、大幅減益となった会社が多かったようです。
最近では、木材価格や鋼材価格が高止る気配があるものの、人件費の上昇が続いており建築費の上昇は続いています。今後は、2024年問題で物流コスト上昇や建築期間の長期化などの影響も懸念され、建築費の上昇はこれから本格的になるとみられます。
こうした影響もあり、中古住宅市場をみると、築年数を相当経た建物でも、なるべく取り壊さずにリノベーションする傾向がますます強まると思われます。

中古住宅の選別にあたっては、築年数だけで建物を判断するのではなく、施工した住宅会社の信頼性、メンテナンスの適否、使用資材の品等、リフォーム、修繕履歴等を総合的に判断することが、肝要となります。

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