令和5年地価調査(基準地価)の概要

令和5年地価調査(基準地価)の概要

【住宅地】
令和5年地価調査(基準地価)が発表されました。仙台市では住宅地で年間の平均変動率は7.1%と昨年の5.9%から上昇幅を広げ、仙台市内及びその周辺の名取市(年間平均変動率7.5%)、富谷市(7.4%)、利府町(9.0%)、大和町(9.6%)で大きな上昇となりました。これらの地域では、売物件が少なく取引件数は減少傾向にあるものの、低金利やコロナ禍以降の家計資産の増加を背景に、旺盛な住宅取得マインドは継続しています。供給する住宅販売会社も仙台市中心部は物件不足や地価の高騰で用地取得が難しくなっており、さらに建築費の上昇も加わって、地価が相対的に低位な仙台市周辺の地域へその守備範囲を広げつつあるようです。
物価上昇やエネルギー価格の上昇等により、現在新築戸建住宅、分譲マンションの販売も厳しい状況で、住宅取得マインドはやや低下しているようです。一方で、中古住宅や中古マンションは、地下鉄沿線の住宅地域や利便性が良好なエリアで積極的な取引が増えています。地域や物件に対して厳しく選別した取引が増えるとみられ、需要が旺盛なエリアと減退するエリアとの二極化が進むものと予測されます。


【仙台市の商業地】
仙台市の商業地の変動率は7.8%(昨年5.7%)となりました。投資ファンド等の県外資本を中心とする取引は減少したものの、比較的小規模な物件の取引が増える傾向がみられました。コロナ禍を契機に安定収入が見込める賃貸マンション投資が活発で、上杉、二日町、木町通、五橋地区等の商業地域内では単身者向けの高層マンション用地需要が旺盛です。また、総合病院や大型商業施設の進出が予定されている堤通雨宮地区では将来性を期待した収益物件用地の取引が多く見られ、今春開校した東北学院大学五橋キャンパス周辺では、学生寮や単身者用のマンション用地の高値取引が目立ちました。市中心部では、今後数年で複数のオフィスビルが竣工する予定です。空室率の悪化が懸念されますが、高機能で省エネ、セキュリティー、防災リスクに対応した新築オフィスビルの需要は堅調を維持しており、老朽化したビルの建替計画も把握されていることから、一時的な空室率の上昇は認められものの空室解消は比較的順調に進んでいくとみる向きが強いようです。

【工業地】
工業地は仙台市や富谷市の工業地で年間10%を超える大きな上昇が続いています。これらは主に物流施設用地需要が主因となっています。2024年問題で、物流施設の仙台都市圏において物流拠点となる用地需要が高まっており、特に市街地に近い仙台都市圏において大手物流デベロッパ-による積極的な用地取得が散見されます。中心部で大規模画地の用地取得が難しくなってきており、より広範なエリアへ波及する傾向も見られます。また、自動車関連や半導体関連の製造業を中心に、施設拡張や近年の技術革新やエネルギー価格の上昇により省エネ、高機能への設備投資が進んでおり、こうした動きも工業用地価格の上昇となったと考えられます。

■仙台市/藤塚地区の海岸公園の計画   221123

■仙台市/藤塚地区の海岸公園の計画          221123

「アクアイグニス仙台」の東側で、都市計画による海岸公園としてP-PFIで民間事業を利用した都市計画が進んでいます。名取川河口付近のレジャースポットとして期待されます。先日「アクアイグニス」を訪れた際には、天候の良い日曜日で「閖上大橋」付近から「かわまちテラス閖上」に続く県道はかなりの渋滞でした。こうした交通アクセスの課題も合わせて検討する必要がありそうです。

藤塚地区にぎわいづくり検討会資料⇒仙台市HPへ

建設新聞HPより引用-------------------------------

2022-11-16
仙台市/藤塚地区のにぎわい施設/P―PFIで全天候型遊び場など想定/来年度に具体的な検討や設計着手

仙台市は、東日本大震災の津波被害を受けた若林区藤塚地区に、にぎわいを創出する施設群を計画している。仙台市が整備する公園施設は来年度から設計に着手するほか、かわまちづくり事業の導入に向けては来年度の登録を目指す。さらにPark─PFIなどを想定した全天候型遊び場は来年度で事業化を検討する。
15日に藤塚地区にぎわいづくり検討会(座長=宮原育子宮城学院女子大学現代ビジネス学部教授)の第4回(最終)会合を開き、市はゾーニングやパース、スケジュール案を示した。これまでの意見は、公園基本計画やかわまちづくりの申請資料などに反映する。

仙台・名取市境となっている名取川の北側に位置する藤塚地区は、津波被害を受けて防災集団移転事業を実施した。跡地のうち、今年4月にオープンした「アクアイグニス仙台」と、その南側の太陽光発電施設エリアを除いた区域は、都市計画の海岸公園に編入予定。2013年度に策定した海岸公園復興基本計画を踏まえ〝集い触れ合える自然環境・海浜景観の創出〟
〝周辺施設との連携や回遊性の向上〟をコンセプトとして施設整備に取り組む。
整備を検討している施設を見ると「アクアイグニス仙台」の東側に続くエリアは『にぎわいゾーン』に位置付け、民間事業者によるPark―PFIを想定した全天候型遊び場をはじめ、デイキャンプや芝生広場・噴水、園内移動手段など、集客増加につながる連携や回遊を意識した施設を配置する。
最も南側は、避難の丘が既設となっており『展望(避難)ゾーン』とする。その北側は『自然ふれあいゾーン』に位置付け、集客増加を考慮して避難の丘を増設した上で、新たな避難の丘は斜面を花畑として活用する計画。さらに北側は『よすがゾーン』と称し、五柱神社の解説板や鎮守の杜、藤棚などを配置する。
にぎわいゾーンの東側は、貞山運河に面した『水辺交流ゾーン』と位置付け、エコツアーなどの拠点になる施設を建築するほか、河川管理者により親水護岸や浮桟橋を整備。サイクルステーションやカヌー・ボートの格納庫、オープンカフェも計画している。その北側は『自然観察ゾーン』としてフットパス(もともとの風景を楽しみながら歩くエリア)を設ける。水辺交流ゾーンと自然観察ゾーンの整備には、かわまちづくり事業の適用を目指している。
また、にぎわいゾーンの北側は『自然継承ゾーン』として、海岸防災林の北側への拡充、防災林内への湿地環境の再現、マウンテンバイクコースの整備などを計画中。
スケジュール案によると、市が主体となる公園整備事業は、本年度末までに盛り込む施設など方針を固め、来年度早期に基本計画を策定する。基本計画の取りまとめはエイト日本技術開発が担当している。来年度から24年度内にかけて基本・実施設計を作成するとともに、24年度の下期から工事着手するイメージだ。
来年度は公園設計と並行し、全天候型遊び場をめぐる官民連携事業化の検討も進める。順調にいけば24年度内に官民連携指針を策定し、同年度末ごろに民間事業者を選定する。
かわまちづくり事業の適用を目指すエリアに関しては、年内にも仮申請を行う。23年度早期の本申請を経て、夏ごろの登録を見込む。23年度から24年度にかけて「藤塚地区かわまちづくり協議会」(仮称)を立ち上げてより具体的な内容を検討し、24年度に作成する基本・実施設計に反映する。25年度から護岸・側帯工事および植栽工事に着手していく。

◎福岡、天神・博多再開発に熱視線、企業の福岡シフト活発化。 221005

◎福岡、天神・博多再開発に熱視線、企業の福岡シフト活発化。 221005

福岡市への進出企業は20年までの5年間で275社。雇用者数も約7000人増加。福岡県内の人口を一気に吸い上げています。 急速に進む円安の影響で、海外から見ると日本の不動産価格は割安感が増しており、その投資先の一つとして福岡が注目されているとのことです。 残念ながら仙台市においては投資ボリュームに見合う大型物件が少ないため、今のところはこうした動きは見られません。福岡市が主導する官民連携の「天神ビッグバン」「博多コネクテッド」等の街づくりが国内外から人と資金を呼び寄せています。
 一方で、投資家の物件意欲は旺盛とのことですが、深刻な売り物件不足に見舞われているようです。この辺りは仙台と同様のようです。福岡の賃貸市場は堅調で、オフィスビルの供給ラッシュで、法人需要を中心とする長期的な投資機会は増加するとの予測です。「天神ビッグバン」は、建物の高さや容積率制限の緩和で24年までの10年間で30棟のビル建替えを誘導したとのことです。建て替えでビルの延べ面積は1.7倍に拡大し雇用者数が2.4倍に増加。足元の確認申請は50棟を超えており上振れる可能性があるそうです。「博多コネクテッド」も20棟のビル建て替えを誘導しているとのこと。福岡ではこうした都市インフラの更新が奏功しており企業誘致が進んでおり、人とモノを呼び込んでいます。

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